広告 ゲームの感想

サクサク戦闘特化のハクスラが楽しめるRPGツクールMZ製の同人ゲーム「Abyss Rebirth」の紹介

RPGツクールMZで作られたノンフィールド系ハクスラRPG「Abyss Rebirth」が先日発売され、クリアまで遊んでみました。

1000円以下という手頃な価格で遊べ、ノンフィールドハクスラ系RPGということで、楽しめたことはもちろんのこと、こんな形式のRPGもツクールで作れるという勉強になる要素も多い印象に思えました。

そこで今回は、「Abyss Rebirth」のゲームシステムやプレイ感想を紹介していきます。

シナリオ皆無なドロップ狙いの戦闘特化なハクスラRPG

まず、「Abyss Rebirth」のシナリオや世界背景について紹介します。

今作は大きなシナリオはありませんが、公式の資料を見ると、プレイヤーは冒険者。拠点となる都市を基軸に経験を積み、未踏の迷宮「アビスの迷宮」を攻略することが大きな目的となります。

プレイヤーは冒険者であるという説明だけの通り、明確に特定のキャラに重きが置かれているような作品ではありません。ゲーム開始時には複数のキャラクターから主人公を一人選択。選択後、すぐに拠点となる街へ移動してゲームが開始されます。ゲーム中に細かい説明はなく、フリーシナリオに近い形式にも見える作品です。(ヒント付きの補足の資料も添付されているので、説明を重視する方は細かく読むとスムーズに入れるかと思います)

強者揃いの迷宮前にまずは探索で強くなろう

明確なシナリオのないフリーシナリオに近い作品ゆえ、特に決められた攻略順はありません。最初から迷宮に挑むことも可能ですが、始めたばかりの主人公は弱いです。初期状態はパーティメンバーも一人だけなので、立ち回りに限界もあることでしょう。

そこで、役立つのが探索です。探索を選ぶと、迷宮とは違うダンジョンに挑むことができます。行くエリアによって出現する敵や入手できるアイテムは様々。まずは一番弱い敵が出てくるエリアを集中的に挑むのがおすすめです。探索先を決めるエリアでは、難易度や採集品も確認可能なので、案内を参考に行き先を決めていきましょう。

ノンフィールドで進む左右キーで深部を目指す、特徴的な画面構成

探索や迷宮を選ぶと、次のようなダンジョン攻略画面になります。

ツクール製の作品では、トップビュー……いわゆる上から見下ろしてキャラクターを十字方向に動かす作品が多いですが、今作はノンフィールドRPG形式を採用しています。基本使うのは左右キーのみ。右上に「マップ進行度」と呼ばれる階層のようなものが表示され、画面右側の矢印をクリックもしくは右キーを押すと進行度が上昇していきます。

マップ進行度を切り替えると、ランダムで戦闘が発生します。戦闘はターン制の最大4人パーティ制。ターン中に行う行動コマンドを選んでいく、オーソドックスなバトルです。昔ながらのスタイルですが、全体的に戦闘演出のテンポが早め。ザコ敵は2~3体で出現しますが、4人パーティになれば攻撃のみで1~3ターン程度で終了可能、10秒~30秒程度で1戦闘終了していきます。

手応えあるボスや強敵、レアモンスターも登場

一定の進行度まで行くと、ボスが登場します。ボスは雑魚戦等と異なり、体力が多いので基本はスキルを選択しながらの行動が求められます。序盤はやや優しめですが、中盤移行は敵の火力も高くなり、回復やスキル技もしっかり意識することが重要になります。特に「アビスの迷宮」に登場するボスは、開幕初手やHPが一定以下になったタイミングでトリガー的に発動する大技もし掛けてくるので、攻守ともども戦略立てて挑む必要が出てきます。

▲ボス敵は手応えありますが、厳密な計算や準備等が必須なレベルではない。ライトに遊べるけど、手応えも感じられる絶妙な難易度の印象です!

また、ボス以外にも「レアモンスター」や「強敵」のイベントが発生することもあります。マップ進行度を変更した時、軽いイベントが発生。レアモンスターの場合は更に抽選を成功させれば戦闘が発生します。一方、強敵の場合は堂々と進む、もしくは避けるように行動する選択肢が表示され、堂々と進むか、避ける行動が失敗すると戦闘になります。

「レアモンスター」や「強敵」は少し強いザコ敵という感覚になります。体感的な印象になりますが、ザコ敵と比較してドロップアイテムが良い印象があります。

気軽に楽しめるハクスラ感のある育成・強化要素

ボス戦や高難易度なアビスの迷宮に挑むためには、育成や強化が重要です。次に、味方を強化する要素をご紹介していきます。

ドロップによる装備やアイテム・素材

ザコ敵・レアモンスター・強敵との戦闘では、高確率で様々なアイテムが手に入ります。

入手できるアイテムは、回復等の消費アイテムだけではなく、装備や後述の装備開発用の素材も手に入ります。基本的に基礎能力が上昇するような装備品が多いため、より難易度の高いエリアに挑めば、高い効果をもたらす装備が入手できます。また、ごく稀に手に入るレアリティの高い装備は強力な実力を持ちます。

ドロップする装備は「主力武器」「サブ武器」「身体」「装飾」×3のいずれかに装備できます。ドロップアイテムだけで装備枠6つが埋まることになるため、各エリアのザコ敵から手に入るレアリティの低い装備に変えるだけでも、戦力アップに繋がります。ザコ戦闘はサクサクと進むので、装備収集が重要になることでしょう。

また、敵のドロップには「素材」や「魂の欠片」と呼ばれるアイテムが含まれることもあります。「素材」はキャラクター専用装備の開発、「魂の欠片」はソウル枠の装備品や一部キャラクター専用装備の開発に活用できます。

ソウル装備やキャラクター専用装備の開発は拠点で可能。じっくりと進めたい方は周回をしながら戦力を少しずつ高めていくような楽しみも味わえます。

条件を満たすと仲間になる、豊富なキャラクター

初期パーティは1人ですが、仲間を増やすことで最大4人パーティでの戦闘を行えます。仲間を増やす方法は、酒場に行くこと。酒場では、各キャラクターの容姿や簡単な特徴を確認できます。

しかし、各仲間になるキャラクターには、仲間になる条件が設定されています。仲間になる条件は探索エリアの攻略完了やクエスト攻略で得れるアイテム、レベル等です。特に攻略順も決まっているわけではないので、ある程度強化したら好きな傾向のキャラクターの仲間条件を重視して立ち回るような行動も楽しいです。仲間にしたキャラクターは常時入れ替え可能です。そこまで仲間の個性が強いわけではないので、好きなデザインや能力傾向のキャラで進められます。

▲選択しなかった主人公も条件を満たすことで仲間にすることも可能です

能力やスキルに大きく影響を与える「ジョブ」要素

仲間キャラクターに関連して重要なのは「ジョブ」要素です。本作では拠点のギルドでジョブを変えることができ、戦闘を繰り返すほどジョブのレベルを上昇できます。ジョブによって能力値や使用できる技が大きく変化します。

ジョブには以下6つの系統があります。

  • 探索を専門とするエリアウォーカー
  • 物理技を専門とするヴァンガード
  • 防御技を専門とするナイト
  • 魔法攻撃を専門とするヴィザード
  • 補助魔法を専門とするソーサラー
  • 回復魔法を専門とするアコライト

例えば、ソーサラーの仲間がジョブレベルをあげていけば、ターン消費無しで即発動できる能力値上昇技を覚えたり、ヴァンガードであれば打撃系の強力な攻撃技が取得できます。各職業によってステータスの上昇も変化。キャラクターによって選べるジョブが変わると言ったことはなく、かつ異なるジョブに変えると使用できるスキルもリセットされるため、プレイヤーの得意戦略やパーティ全体のバランスを見ながら、戦闘に参加するキャラクターのジョブを選ぶ必要があります。

さらに、各ジョブは下位職から始まり、各ジョブのレベルを最大値まであげれば同じ系統の上位職へとジョブ変更が可能になります。上位ランクになるほどジョブの最大レベルもあがるため、成長させればより強力な立ち回りも可能になります。例えば下位職のエリアウォーカーをLv30まであげれば、中級職のエクスプローラに転職可能。同じ探索を専門とする職業ですが、最大レベルが50まであがるため、大きく成長してくれるようになります。

その他・クエストやショップ機能

他にも受注していた状態で敵を一定数討伐するなどで報酬が得られるクエストシステム。回復や中盤レベルまでの装備をお金で購入できるお店も拠点にはあります。

一部クエストで得られる称号は装備アイテムとなっており、味方キャラクターの能力値上昇にも役立ってくれます。また、今作は回復魔法もTPと呼ばれる攻撃や防御行動で上昇する値が必要となるため、肝心なところで発動できないこともあり、回復アイテムが重要になることもあります。

クエストのモンスター討伐数はそこそこの数、アイテムもやや高値ですが、戦闘サクサク&アイテムドロップも多いので、素材目的の周回ついでに狙ったり、不要なアイテムを適度に売却するとちょうどいいバランスになっているような印象があります。

収集のサクサク戦闘周回と気持ちを引き締めるボス戦が良き

システムを紹介してきたところで、全体の感想に移ります。今作の最大の魅力は「装備や素材を収集するサクサク戦闘で周回」と「気持ちを引き締めるボス戦」かと思います。

装備や素材を収集するサクサク戦闘で周回

基本的にジョブのレベル上げ・装備のドロップ品・ドロップ素材からの装備開発と、ザコ敵の周回が基盤となる作品です。

とにかく戦闘がサクサクいくため、基本となる戦闘がテンポよく進んでいくのは心地いいです。自身で欲しい装備に必要な素材や、達成したいクエストを目標に決め、そのエリアに絞ってザコ敵をサクサクと繰り返していくのが黙々と遊んでいても楽しいです。ぼーっと画面を流しながら、連打でどんどんと倒していき、ドロップアイテムを確認。そろそろ手に入ったかなぁとアイテム袋を眺めていくのが楽しい印象です。

素材集めとかをしていくうちに、ジョブとかのレベルも上がっていきますし、ハクスラ的な育成のポイントをザコ敵との戦闘に重点を置いている印象です。そしてその重要なザコ戦闘を非常に快適さを出しているのが素晴らしく感じます。やること自体はザコ敵討伐からのドロップ運ゲーになりますが、敵エンカウントを避ける・呼ぶアイテムや、モンスター図鑑と言った便利機能もしっかりとあります。育成的な面白さの基軸になっているザコ戦闘討伐周回を機能で支援しつつ、テンポの良さと周回の快適さを出してくれるので、ぼーっとしながらひたすら素材集めができちゃうような、心地よい作業ゲー的な魅力が詰まっているゲームに思えます。

気持ちを引き締めるボス戦で簡単すぎるで終わらないのもいい

ザコ敵はサクサクですが、ゆるゲーで終わらせなくしてくれているのがボス戦の存在にも注目です!

ボスまでサクサク・優しめすぎると全体的に手応えなく終わってしまうかもしれませんが、今作はボスがある程度しっかりと戦うような難易度になっているので、そろそろ強くなったから挑んでみようかなという目標の支えにもなりますし、達成した目標の成果によって強くなった体感を得れます。ボス戦闘によって気持ちが大きく切り替えるような役割にもなっている印象があります。

それゆにえ、うまくザコ敵とボス戦でのスイッチ切り替えさせてくれます。それでいて、ゴリゴリな高難易度でもないので、全体を通して遊びやすさはありつつも、RPGを楽しんでいる感覚になっている難易度バランスに思えます。

プレイ時間的にはゆっくりやれば10時間ぐらい、速くやれば7時間~8時間ぐらいで終わる中編規模かと思いますが、中編のフリーシナリオ×ハクスラ系作品として遊び終われる規模にしっかりと最適化しているような印象を受けるゲームに感じました。

装備や素材集めをカジュアルに遊べるハクスラRPG

以上、「Abyss Rebirth」の紹介と個人的な感想でした。

ツクールでのノンフィールド的なRPGとしても勉強になる作品だと思います。好きなキャラクターでクリアできるようにというような意図も感じられ、この主旨に沿って変に盛り込みすぎずにまとめている点もこの作品のすごいところではないかと感じています。ぜひ値段も比較的手頃な作品で万人が遊びやすいような内容にうまくまとめている印象もあるので、戦闘特化の作品が好きな方や、ハクスラ系作品を作りたい方、マップ作りが苦手なツクラーさんの勉強作品として、よりおすすめになる作品ではないかと思います。

→Abyss Rebirthの購入はコチラでできます

-ゲームの感想
-, ,