「RPGツクールMVでゲーム作っているけど、そろそろ新しいツクールに切り替えたほうがいいのだろうか」
RPGツクールMVも2025年で発売から10年目、そろそろ新しいRPGツクールに切り替えようか考え中の方も多いことでしょう。とはいえ、純粋なRPGツクールらしい後継機として出たRPGツクールMZも発売から5年。おかげでMZもセール時には半額近くになりますが、「MZってMVと変わらないんでしょ」という噂を口にする方もおり、今さらRPGツクールMZに切り替えるべきかと悩んでいるかもしれません。
個人的には、RPGツクールMVでゲーム制作をしたことがあり、MZに切り替えようか迷ったのであれば、問答無用で切り替えていいのではないかと考えています。というのも、RPGツクールMZは「MVからの微改良」と言われていたのは昔のこと。本格的なゲームを作るのであれば時短につながる便利な機能や、MVでは難しかったことが簡単にできるようになった要素も多くなっております。プラグインの数も、今や国内だけでも2000種類以上で拡張性も抜群です。
とはいえ、数千円もかけてMVからMZに切り替える価値はあるのだろうか……。MVからMZの改良された内容は公式の「新機能活用講座」やバージョンアップ履歴を見れば確認できますが……、正直マニアックなものもあります。もし、あなたがライトユーザーであれば、知りたいのは詳細な全更新内容ではなく、「即戦力の新機能」のはずです。
そこで今回は、制作ライト層のために主観満々で「MVにはないMZの機能」を22個まとめてみました。Tier1~Tier3までランク別に紹介しているので、まずは流し読みしてみて気になる機能がないか確認してみて頂ければと思います。
なお、本レビューを作るにあたり、ライト層とは
- 基本的なマップ制作やデータベースの操作、イベントコマンドはある程度使いこなせる
- プラグイン素材をお借りして導入済みorいいのがあれば導入したいと思ってる
- RPGツクールMVでのゲーム制作を楽しめている
といった、簡単な作品であれば作れるかなぁという、大雑把にツクールの機能は把握済みというユーザーをイメージしています。
Tier1 興味があればMZ即買いレベルな必須級機能
まずはティア1、恩恵がでかすぎるRPGツクールMZの機能を紹介していきます。個人的にコレは毎回使っている、よく作るこの系統を制作ならば必須で欲しく、これらの機能があるからMVには戻れないと思っている機能の数々です。この機能のいずれかに魅力を感じるのであれば、もうMZ買っていいんじゃないと思うようなものを揃えました。
機能1 「レイヤー機能」で細かくマップ編集 | カテゴリ:マップ作成
まず1つ目が「レイヤー」機能です。
RPGツクールMVとMZは一つのマスに4つのタイルを配置できます。例えば木の床のタイルを配置した後に、机をおいて、ビンのタイルを置くと、「ビンが置かれた机が床の上にある」というのを表現できます。これは、MV/MZともに1つのタイルに4つのレイヤー(層)があり、レイヤー1には「床」、レイヤー3には「机」、レイヤー4には「ビン」がそれぞれのレイヤー(層)に置かれているからこそ、上から見ると1つのマスに3つのタイルが重なって配置されているように見えます。

RPGツクールMZでレイヤー4を編集している画面
RPGツクールMVでは、どのタイルがどのレイヤーに配置されているか、指定・確認することができませんでした。対してRPGツクールMZではレイヤーを指定して配置ができ、かつ各レイヤーにどのタイルが配置されているのか確認することもできます。そのため、よりイメージしたマップを制作したり、配置済みのタイルを編集しやすくなりました。
例えば、「床の上にビンを置いた机」を配置したマスで、「床のタイルを変えたい」と思ったとします。MVでは再度床を配置して机、ビンと再配置しなければなりませんでした。MZでは「レイヤー1」を配置するモードにして、床を変えるだけです。レイヤー1に配置されたタイルだけ編集できるので、レイヤー1以外に置かれた机や人形は変化しないのです。
特に柵などオートタイルで変化するようなものを配置したり、木など複数のオブジェクトが重なって見えるようなエリアを作るときには、メチャクチャ便利な機能です。タイルセットを使い、ある程度装飾があるマップを作るのであれば、このレイヤー機能を使いだしたらMVには戻れません。
ツクールXPユーザー「レイヤー指定のマップ制作面倒くさいじゃん」→改良されてます
MZの「レイヤー」機能を紹介する際に外せないのは、ツクールXPを使ったことのあるツクラーさんによる、「レイヤーでのマップ制作は面倒くさい」という声です。実はMZで追加された「レイヤー」の機能は、初めて搭載された機能ではありません。RPGツクールXPの時代にも搭載されるも、続くVXからはレイヤー機能は削除され続け、コアなツクラーさんから復活の声も多かった機能なのです。

RPGツクールXPのレイヤー機能
そしてMZでついに復活しましたが、ただ単に復活したのではありません。XPでのレイヤー機能よりもパワーアップしています。XPの場合は「レイヤー」を指定してマップを作らなければいけませんでした。例えば、レイヤー1でまずは床を作成し、レイヤー2に切り替えてオブジェクトを配置していき……といった感じですね。一つのマップを作るにあたり、レイヤー1つ1つを指定して作らなければならず、面倒くさい声もありました。
MZはレイヤーを指定した制作の他に「自動」というモードがあります。これは、いわゆる「MV」のタイルセットを配置する方法と同じで、ポチポチ置いていけばツクール側で「コレは床だからレイヤー1でしょ」「このタイルはオブジェクトだからレイヤー4に配置」と、MV同様にある程度自動で最適よりなレイヤーを決めて配置してくれます。
そのため、XPのように全部手動でレイヤーを指定する必要はありません。まずはMVと同じ感覚で自動モードによる作成を行い、狙ったとおりに行かない場合や、複雑なデザインをしたいときにはレイヤーを指定して編集をしていくという方法での使用がオススメです。まさにMVのいいところを残しつつ、熱望されたレイヤー機能を搭載した、MZの神機能なのです!
機能2 「TPB(タイムプログレスバトル)」を選択可能 | カテゴリ:バトル
RPGツクールMZでは、バトルシステムとして「TPB(タイムプログレスバトル)」が標準搭載されました。

RPGツクールMZのターン制バトル
従来のRPGツクールでは、ターン制のバトルが採用されていました。いわゆる、バトルが始まると味方キャラクター全員の行動を入力し、敏捷性によって敵味方が一人ずつ行動を行っていく。そして敵味方全員が行動し終えたら、次のターンになり、再び味方キャラクター全員の行動を入力するという方法です。もちろん、RPGツクールMZでもこのターン制の戦闘方式の作品を作ることもできます。
RPGツクールMZでは、従来のターン制に加え、新たに「TPB(アクティブ)」と「TPB(ウェイト)」が選べるようになりました。TPBは戦闘に参加する敵味方それぞれにゲージが用意され、時間経過でゲージが各々の溜まっていきます。、ゲージが完全に貯まると行動入力をして行動ができる仕組みです。有名なRPGの仕組みで言えば「ATB」と呼ばれるような方式に近いイメージです。(なお、アクティブ/ウェイトは行動入力時にゲージ進行を止めるかどうかの違いです)

RPGツクールMZのTPB。キャラ名と重なるピンクのゲージが貯まると行動入力を行う
ATB系はRPGツクールMVでもプラグインを入れることで導入することができましたが、MZでは標準機能になったので、システムから「TPB」を選ぶだけで即導入ができます。プラグインを入れるための勉強も不要です。

ターン制とTPBはデータベースから設定可能です
さらに言えば、標準機能として搭載されたので、バトル系のプラグインでも競合が出にくくなったり、TPBの戦闘をカスタマイズするようなプラグインも多数公開されています。標準化によってMVでは難しかったバトルを個性的にしやすくなったという点も忘れてはいけないポイントです!
機能3 「ピクチャの簡単設定」の追加 | カテゴリ:イベントコマンド
RPGツクールでイベントスチル(イベント絵)を表示したり、複雑な画面構成を作ったりするときには「ピクチャの表示」というコマンドを使って表示する画像と位置を決めます。RPGツクールMVでは位置を座標で入力する必要がありました。感覚的に慣れるまでは大変ですし、大量の画像を配置するときは全体像を意識しての調整が大変でした。
RPGツクールMZはバージョンアップにより、ピクチャの表示に「簡単設定」が追加されました。同ボタンを推すと、専用の画面が表示され、クリックした位置に画像が表示。座標の情報も出ますし、OKで確定すればピクチャの表示する座標にその位置を入力してくれます。
さらに同じイベントで複数画像を配置していれば、しっかりと簡単設定にも配置してくれるので、独自メニューを作るときにも役立ちます。まずはピクチャの簡単設定でだいたいの位置を決定、入力された数字を下に微調整する方法で調整すれば、画像サイズの違う画像の利用や、複数のピクチャ配置の時に超絶便利です!

簡単設定を確定すると数字が自動で座標に入力されます。
機能4 「プラグインコマンド」の強化 | カテゴリ:プラグイン
Tier1として最後に紹介するのは、プラグイン(拡張機能)を導入する時に使う「プラグインコマンド」の強化です。
プラグインは様々な作者様が公開されており、いろいろな機能が導入できる反面、各プラグイン記入方法や書式が異なります。導入するときには一言一句正しく入力しなければ動きません。
RPGツクールMVでプラグインを使う時、プラグインコマンドで正しく入力したはずなのに動かない。何度も、何度もプラグインのヘルプを読み直しても正しい記述に見える。何時間もかけて見つけた原因が、「スペルを1文字入力間違えてた」「スペース入れてない」「大文字小文字間違ってた」といった細かいことだったという経験がある方も多いはずです。
RPGツクールMZでは、プラグインコマンドが大きく刷新され、RPGツクールMVのような1行の入力欄から、「コマンド」や「引数」から複数の項目を選び設定するような方法に変わりました。この仕組みにより、ユーザーは直接記入するのではなく各項目のガイドに従って入力することで設定ができるようになったため、誤入力を防いだり、記述のための書式を理解する手間が短縮できます。例えば画像は「ピクチャを文字で表示する」というプラグインですが、使用するプラグインを選択し、テキストピクチャの設定をするコマンドを選択。あとは引数に表示させたい文字を設定すれば、プラグイン側の準備設定は完了です!
複雑なゲームを作るときには複数のプラグインを入れる必要があるので、設定がしやすくなる点はストレス軽減や時間短縮にも繋がります。また、忘れた頃にメンテナンスすることになっても、理解がしやすく保守性も高まるのではないかと感じます。
Tier2 よく使う機能&プレイ環境向上につながる
次にティア2級の機能を紹介していきます。ティア2では「無くても制作できるけど便利」「小さい改良だけどなんだかんだめちゃ使ってる」といったよく使う機能をまとめました。また、よくツクール製のゲームをプレイヤーとして遊ぶ視点としても「MZ製のゲームはこれだからMVよりも遊びやすいんだな」と思えるようなプレイ環境向上に繋がっていると思う機能をまとめてみました。
機能5 「オートセーブ」の標準化 | カテゴリ:プレイ環境向上
まずプレイヤー的に嬉しい機能「オートセーブ」が標準実装されている点です。
場所移動をした時などに自動でオートセーブ枠にセーブを行ってくれる機能です。RPGツクールMVでもプラグイン導入で実装できますが、MZでは標準機能なのでプラグイン無しで設定可能。オートセーブを無効化することも可能です。
MVからブラウザ(インターネット閲覧ソフト)のゲーム公開の機会も増えていますが、通信が途切れて遊べなくなってしまうこともあります。また、普通に遊んでいても予知せず突然現れた強敵と戦って負けてしまった時など、最後のセーブから時間経過している状態でゲーム終了やゲームオーバーになってしまうこともあると思います。こういったことは負の原因となり、プレイを止めてしまうきっかけにもなりえます。加えて、オートセーブのような機能が商業ゲームでは一般化も進んでおり、セーブのやり方がわからないユーザーもいます。そういった点で、オートセーブの機能を気軽に導入できる点は魅力的です。
もちろん、ゲームの仕様上、オートセーブをなくしたい場合はオフにできる機能も搭載しています。また、オートセーブが標準化されたからこそ、オートセーブの使用周りのプラグインも増えているという点は魅力的です。
機能6 文章の表示に「挿入機能」追加で文字装飾がラク | カテゴリ:イベントコマンド
RPGを作る時に、あなたはどのイベントコマンドを一番使いますか? 会話などを重視しているのであれば「文章の表示」と答える方も多いでしょう。もしあなたが「文章の表示」を一番使うのであれば、「挿入機能」の追加は外せない機能かもしれません。
文章の表示は画面に文章を出す機能です。顔グラフィックといっしょに出すこともできるので、会話的な表現でも使われます。
そんな文章の表示では「制御文字」という特殊な記述を行うことで、文字の色を変えたり、文字の大きさを変える、変数(数字を記録する仕組み)の値を表示するといったことができます。活用することで会話を読みやすくしたり、独自の機能開発に活用できることもあります。
制御文は便利な機能ですが、「\V[半角数字]」など特殊な記述が多く、慣れるまでは難しく感じたり、あまり使わない制御文字は覚えることがなく調べるのが手間だったりすると思います。
RPGツクールMZでは、文章の表示で入力中に右クリックすると「制御文字の挿入」という項目が出るようになりました。この項目を押すと、「制御文字の選択」というウィンドウが表示され、使いたい制御文字の種類を選べばその制御文字を入力してくれます。例えば「変数」を選んだら「\V[]」と入力されるので、あとは数字を括弧の中に半角で入力すれば完了です!
さらに、文章の表示で入力中に右クリックして出る項目には「色番号の選択」という項目も追加されました。こちらは制御文字を使って文字色を変える時に便利な機能です。色を指定するときには色のIDを入力する必要がありますが、「色番号の選択」ではツクールのプロジェクトで使える色が一覧で表示され、選択してOKを押せばその色のIDが入力されます。文字の色を変えたい時に視覚的な確認をしながら設定できるので便利です!
機能7 話者の表示がしやすい!文章の表示に追加の「名前」項目 | カテゴリ:イベントコマンド
文章の表示の改良は挿入機能だけではありません。新しく「名前」という項目が追加されています。
こちらは、話者名の表現に使えるような項目です。入力していると、文章の表示を行うウィンドウの枠外に名前が表示されるようなウィンドウが追加されて表示されます。
こちらもMVではプラグインを導入することで類似した要素を実装できますが、標準機能化されたことにより文章の設定をする流れで話者が設定できます。会話に話者表示する表現をするときには、なんだかんだ使うことが多いような気がします。
機能8 タイル一部導入時に役立つ「タイルセットのコピー」 | カテゴリ:マップ作成
別のタイルセットに使用されているA~Eの一部を他のシートで使いたいと思ったことありませんか?
MV/MZは一つのタイルセットにA~Eの5つの項目に画像を設定できます。初期プロジェクトのデータではA~Cのみが設定されているので、空いているD・E枠に別のタイルセットの素材を設定するケースもあると思います。そういった場合は、DやEに他のマップで使用されている画像を設定すれば使用可能になります。
しかしながら、画像を設定しただけでは通行設定などが全て「◯」で設定されてしまい、いちいち歩けるかどうかを手動で設定する必要がありました。MZからはタイルセットの設定項目に「ページコピー」と「ページ 貼り付け」が追加。すでに通行設定などが行われているデータがあれば、一部画像だけ使用するときにも各種設定を再設定せずにコピー&貼り付けで反映できます。
色々な素材のタイル画像を組み合わせて制作する時に重宝する機能です。
機能9 問題発生時の原因特定が高速化「プラグインのON/OFF」 | カテゴリ:プラグイン
個性的なゲームを作るために、たくさんプラグインを入れたら、いつの間にか動かなくなってしまってどのプラグインに原因があるかわからなくなってしまったということはありませんか?
RPGツクールMZでは、プラグイン管理画面からチェックボックスをクリックするだけでプラグインのON/OFFできるようになりました。大量にプラグインを入れていた場合でも、手軽にON/OFFの切り替えが手軽にできるので、問題が発生して時の原因となるプラグインが特定しやすいです。導入有無による比較や、複数プラグインを入れてうまく動くか動作テストするときなどにも、地味に役立ちます。
機能10 特殊な動きをするモブの自律移動に役立つ「移動ルートのプレビュー」追加 | カテゴリ:イベントコマンド
イベントコマンド「移動ルートの設定」にプレビュー機能が追加されました。プレビューを押すと、専用の画面が表示され、設定中の動きを●(丸)のアイコンがアニメーションするような形で表現してくれます。
キャラの動きを指示できる同コマンドは「上に移動」など1マスずつ設定するので、なんマス移動させるのが正解かをプレビュー機能を通じて確認できる点は非常に便利です。
ただ、個人的にはこのプレビュー機能は「特殊な動きをするモブの自律移動設定」に活用できる印象です。イベントでの動きを作るときには事前に細かく歩数を数えることも多いですが、「噴水の周りを走り回る子ども」といった物語に大きな影響を及ぼさない特殊な動きをするモブキャラは、準備せずに作り始めることも多いハズ。
自律移動で指定したルートを動くような設定をするときにも、「移動ルートの設定」と同等の入力画面を使って設定していくため、こちらでもプレビューを使うことができます。固定的な動きをするモブキャラを気軽にサクッと作れるようになります。
「移動ルートのプレビュー」は過度に期待しない
移動ルートのプレビューは便利な機能の半面、イベントの配置されているマスを基軸にして表示され、細かな動きをつけているときには参考にならないことも多いです。
例えば、イベント中に何度も移動ルートを使って移動している場合も、プレビューは初期位置からの再生になります。クリックすることで、移動元を変更することはできますし、マップ全体を見れるというのは長所でもありますが、移動の動きを完璧にフォローしてくれるまでの機能ではないので、そこまで過度に期待しないほうがいいのかなと思います!
機能11 イベント後半のテストプレイを効率化「実行内容のスキップ」追加 | カテゴリ:イベントコマンド
複雑なイベントや、ボリュームのある会話イベントは、実行内容もたくさんで後半の修正確認や複雑な条件下の確認に時間がかかり気味。途中までの実行内容は飛ばしてもいいんだけどなぁと思ったことがありませんか?
RPGツクールMZでは、実行内容をスキップできる機能が追加されました。一時的にスキップしたい実行内容を選択した状態で右クリックから「スキップ」を選ぶと、条件分岐のように選択した部分がスキップの配下に入ります。このスキップ下に入っている実行内容は実行されないため、一時的に一部内容を飛ばしてテストすることが可能になります。

スキップ内に入った実行内容は飛ばされます
もちろん、再びスキップを選べば解除も可能。RPGツクールMVでは、条件分岐などを使って類似の行為をしていた方もいるかも知れませんが、MZでは手軽に一部を飛ばしやすくなる機能のサポートが実装されました。
機能12 クリックで飛ばせて再プレイしやい 「スプラッシュ画面」の標準化 | カテゴリ:プレイ環境向上
RPGツクールの利用規約のゲーム頒布条件に次のような規約があるのをご存知ですか?
ユーザーは、ユーザーゲームの頒布等にあたっては、ユーザーゲームの利用者に対し、次の事項を告知又は表記するものとします。
1.ゲームのオープニングクレジットに弊社が指定するGGG製品のロゴ及び表記を可能な限り表示させること。

MV搭載のプラグインによるスプラッシュ画面
RPGツクールMVでもこの利用規約があり、可能な限りという表記ですが、ロゴを表示させている方もいるはずです。RPGツクールMVでは、プラグインとしてこのロゴ表示できる機能がありましたが、MZではこのスプラッシュとしてロゴを表示できる機能が標準機能になりました。

RPGツクールMZのスプラッシュ画面
いやいや、標準機能になっただけかよ、別にいらねぇよ思ったアナタ。もちろん、こちらはOFFにすることもできますし、表示方法に違いが出ています。

スプラッシュ画面ON/OFFはオプションから可能です
RPGツクールMZの標準で搭載されたスプラッシュ画面の表示は、ボタンを押すことですぐに表示が消えるようになっています。MVの標準プラグインはボタンを押しても高速化ができなかったので、F5キーなどでリトライした時にもいちいち待ち時間が発生してしまい、プレイ体験を大きく損ねていました。クリックして高速飛ばしができるようになったので、F5などで再プレイするときも待ち時間が減り、プレイしやすくなっています。
Tier3 滅多には使わないけど使うときはやっぱり便利
最後に紹介するのは、頻繁に使うようなことじゃないけど、使うときにはやっぱり便利と思う機能をまとめました。
機能13 ピクチャの上限増加 | カテゴリ:イベントコマンド
RPGツクールMVの標準でのピクチャの上限は100枚。この上限はRPGツクールMZ公開直後は変更ありませんでした。
しかし、RPGツクールMZはバージョンアップによって最大500枚まで指定ができるようになりました。ただ、要求スペックにも影響が出る機能です。RPGツクールMZでは標準では100枚のみ、システムの項目から上限を変えることで、最大500枚まで表示ができるようになっています。よりピクチャを使った自由度が向上しています。
なお、ここで指すピクチャの上限はいわゆるピクチャ番号のことであり、同時に出せる枚数になります。同じ番号に対して表示する画像を切り替えながら表示すれば、作中全体で100枚以上の画像を使用することが可能です。
機能14 「指定位置の情報取得」のキャラクターの追加 | カテゴリ:イベントコマンド
キャラクターがいるマスに応じて何かを起こしたいときには、キャラクターのいるマスのリージョンや地形タグの情報を使うことが多くあります。例えば罠が発動するマスに地形タグ1を割り当て、並列処理でプレイヤーのいる座標の地形タグが1なら罠が発動するように設定しておけば、広域に罠を仕掛けたりすることも可能です。
そんなプレイヤーなどの位置の情報取得に使うイベントコマンドは「指定位置の情報取得」ですが、RPGツクールMVは指定した数値での座標指定もしくは、変数での座標指定しかできませんでした。プレイヤーやイベントの位置の情報を取得したい場合は変数などで座標を取ってから実行という手間が発生していました。MZでは「プレイヤー」や「イベントID」などキャラクター自体を指定できるようになったため、プレイヤーやイベントが今いる位置によって何かを起こしたいというイベントを作りやすくなりました。
機能15 過去作再現に大活躍 「タイルセットのサイズ」変更 | カテゴリ:マップ作成
RPGツクールMVと1マスあたりのサイズが48x48のサイズとなっています。RPGツクールMZでも同じ規格を採用しており、MVの素材をMZでも同じタイル規格のタイル素材が使用できます。

タイル以外にもアイコンサイズなども変更可能
さらにMZでは、バージョンアップにより、「32x32」「24x24」「16x16」も使用できるようになりました。このサイズはRPGツクールVXやVX Ace、2000といった規格になっており、過去作の規格を主軸にした作品も作成できるようになりました。リメイクなどをする場合に役立ちますし、戦略ゲームなど広域を画面内に映すような作品を作る時に役立ちます。
機能16 影ペンを広域に塗り | カテゴリ:マップ作成
RPGツクールMVでは、影ペンを使ってマップの影などを表現できる影ペン機能があります。MZではバージョンアップにより、この影ペンで広域塗りが可能になりました。
SHIFTを押しながら影ペンの始点を選ぶと、四角形の塗と同じように広範囲な影ペン塗りができるようになります。高層ビルの影など広域な影を作るケースや、影ペンを使った演出のあるマップ作成時に活用できます。
機能17 タイルセットの設定が押しながら移動で複数反映可能 | カテゴリ:マップ作成
MZの新機能として紹介されていないように見えますが、タイルセットの歩行判定などで「◯」や「X」を設定する機能についても更新が入っています。
地味にRPGツクールMZ君の気付きにくい便利機能だと思っているんですが……。
タイルセットの通行設定、クリック押し込みながらマウス移動すると移動先も変更してくれます。
サンプルデータなく、手動設定しなきゃいけない壁とか歩けないオブジェクトの位置が固まってるタイル素材設定時に便利です。 pic.twitter.com/PuJqBHN4a5— みなみよつば🍀🍀 (@MinamiYotuba) September 22, 2025
こちらは変更時に押しながらマウスを動かすと、マウス移動先の別の箇所の判定も変更してくれます。例えば新しいタイルの歩行設定を作る時、MVでは「X」にしたい設定が並んでいたとしても、ポチポチと一つずつクリックして反映しなければいけません。MZでは1つ目のポイントを押して「X」にしたあと、そのまま押しっぱなしでスライドしていけば変更されていくの、わざわざクリックする必要がありません。サンプルデータなどがないタイル素材を導入する時、地味に重宝する仕組みです。
機能18 素材フォルダで「子フォルダ」対応 | カテゴリ:素材
例えば登場人物が多く登場する作品では、立ち絵をたくさん保存することが多いはずです。MZ以前は立ち絵などはピクチャ素材に入れて置かなければいけず、大量の立ち絵やシステム画像が一つのフォルダに入っていて管理しにくいと感じた方もいるのではないでしょうか。
RPGツクールMZでは、素材のフォルダに子フォルダを作れる機能が追加されました。いわゆる素材が収納されているフォルダの中にフォルダを作成できるようになった機能です。例えば陣営別にフォルダを作って立ち絵をまとめたりすることで、使う素材を区分けして収納しながら導入することができるようになりました。
機能19 よく使うマップにすぐアクセス「クイックアクセスリスト」 | カテゴリ:マップ作成
長編作品を作ると、マップの数も多くなります。作成済みのダンジョンがたくさん並び、良く編集する拠点やフィールドマップと新しく作成しているダンジョンの間にズラッとマップが並び、編集したいマップを選ぶのに苦労したことはありませんか?
RPGツクールMZはバージョンアップでマップツリーに「クイックアクセスリスト」が追加されました。マップをクイックアクセスリストに追加していくと、クイックアクセスの項目からすぐにマップ編集ができるようになります。近々編集するマップをその都度クイックアクセスリストに入れて制作を始めると、すぐに必要なマップへアクセスできて時短に繋がります。

フィールドと魔王城だけクイックアクセスに追加した例
機能20 MV向けの素材も有効活用 「コンバート機能」 | カテゴリ:素材
RPGツクールMZでは、RPGツクールMVのプロジェクトコンバート、いわゆる移植する機能が追加されました。
プラグインなどは対応していないものも多いので、イベントコマンド中心で作っているものだけですが、RPGツクールMVの制作データをMZに引き継げます。MZの方がプレイの安定性も増しているのではないかと言われているので、既存作品で移植できるような場合は挑戦してみたほうがいいでしょう。
さてコンバート機能、一番進化を発揮するのは「RPGツクールMV向けで購入した素材をMZで使う場合」だと思います。ツクール公式DLCは、MV向け素材でもツクールシリーズなら利用可能、つまりMZでも使える場合が多いです。MVとMZは規格が同じものも多いので、実質別々に買ったとしても同じものが入っているケース多いんですよね。そこで一番の問題になるのが、素材のサンプルプロジェクトがMV向けという問題。例えばタイルセットの素材を使う時、サンプルプロジェクトの歩行設定などをコピーして利用するケースも多いです。しかしながら、MV向けだとMVへのプロジェクトのコピーは、MZへのコピーはできません。
そこで役立つのがこのコンバート機能。サンプルプロジェクトは標準の機能で作られていることも多いので、コンバートしてしまえばMZでも開けることが多め。MZで開けるようになれば、タイルセットのコピー&貼り付け機能を使うことで一部素材も使えるようになります。コンバート機能の公式説明は複雑に見えますが、実際は一部フォルダはコピーしなくていいだけなので、慣れれば簡単にできます。MVのDLCをたくさん買っている人ほど恩恵がでかいと思う機能です。
機能21 全角入力を半角入力に変換してくれる機能 | カテゴリ:イベントコマンド
日本語は全角入力という、いわゆる「a」や「1」といった半角での入力と違い、大きい形で表示されるような文字で一般的な入力しています。あなたが海外向けの作品を作っているのでなければ、文章表示とかでは日本語入力、つまりは全角での入力が多いはずです。しかしながら、RPGツクールでは、イベントコマンドで何か数字を指定する場合、半角での入力が求められます。例えば、アイテムを増やす処理でアイテムの入手数を指定する場合は「5」と全角入力ではできず、半角で「5」と入力しないとうまく反映しませんし、エラーになってしまうこともあります。

RPGツクールMVで全角入力しようとすると……

エンター押しても入力が確定せず消えてしまう
RPGツクールMZでは、一部を除き数字入力などが必要な箇所は、全角で入力しても自動で半角に変換してくれるようになりました。全角半角の切り替えはキーボードからさっとできたりもするのですが、慣れていない方だとなかなか難しいと思います。さらに言えば、いちいち切り替えるボタンを押さなければいけなかったので、文章の表示での文章入力と一緒にやっていると、微妙な手間になってしまったりしていました。全角入力のまま、イベント制作を進める事ができる時間が増えたので、こちらも地味に便利だと思います!

RPGツクールMZで全角入力すると

エンターで半角数字に切り替わって入力してくれます
機能22 イベントの一覧表示でイベントアクセス向上 | カテゴリ:イベントコマンド
イベント編集モードに切り替えると、タイル選択を行う画面左上の部分が切り替わり、マップ上に設置されたイベントの一覧が表示されるようになりました。
イベントの名前もしっかりと反映されます。またクリックすることで対象イベントのイベントエディターが表示され、すぐに編集することが可能です。マップに大量のイベントがある場合や、命名をしっかりとしているイベントの編集に活用できます。
おまけ よく聞く「便利になった」機能
最期におまけで、個人的にはあんまり使わないけど、便利になった声を聞いたことがある機能もまとめておきます。
- イベントの折りたたみ→条件分岐等を折り畳める
- キャラクター生成機能のオフセット→配置パーツをちょっとずらせる
- イベント検索で出現条件も対象に→スイッチとかを条件にしたイベント探しやすい
- 攻撃スキルのデフォルト機能化→攻撃選んだ時に発動するスキルを選べる
- DBで設定可能な最大数の増加→大量の武器や防具、敵がより作れるようになった
- スマホ操作しやすい→キャンセルとかの画面ボタン増えてる
- コアスクリプト周りの記述→プラグインとか開発する人向け
- 音楽系のファイルがoggだけで良くなった→配布容量を誰でも少なくできる
- Effekseerによるアニメ対応→高品質なアニメ導入可能(ただし作る専門知識必要)
- 変数の操作に直前追加→直前の行動とかによって複雑な処理を作れる
- 敵グループで敵配置時にIDが見える→コモンイベントやプラグイン使う時にたまに使う
- 実行内容をドラック&ドロップで移動可能→実行内容の設定済みコマンド移動がマウス操作だけでできる
この他にも、ピクチャの表示に「イージング」が追加とか、制御文字がいくつか追加されたとか、条件分岐のボタンの押し込み周りの設定が追加されただのもありますが、かなり限定的な恩恵かなと思います。
まとめ 自然に使うと便利な機能がMZでは追加されている
ここまで、個人的に思ったりしているMZの新機能をまとめてみました。MZは自然な改良が多く「あれこの機能ってMVになかったんだっけ」と使い慣れてくると当たり前のように使っていたことが、MZから追加だったということもあります。また、細かいからこそ、人によってもっと使い勝手が良くなったと感じているような項目もあると思われます。今回の執筆に当たっても最初は18選ぐらいだったのに、「あれこれもMZからやん!」と思うことが多く、MZの地味だけどすごい改良を改めて感じました。もしかするとまだまだ忘れていることもありそうなので、コメントなどで教えて下さい。(反映していきます)
なお、RPGツクールMZはセールなどで一気に安くなることも多めです。常日頃、下記サイトは安くなっていないかチェックすると、お得に購入できることが多いです。購入したいと思ったら、下記サイトを横断的にチェックするのがおすすめです!
セールしていない場合は、体験版が初回起動から30日間だけフルで使用できます。制作プロジェクトも引き続げるので、非セール期間はまず体験版でセールを待ちつつ制作をするのがオススメです。ただ、ゲーム制作は時間もかかるので、長期的な制作ではセールを待つよりも買ってとにかく早く公開したほうがいい場合も多いので、この辺は制作に取れる時間を重視するかも合わせて検討するといいでしょう。